ノスタルジア~喫茶店を訪ねて~
 アパートを飛び出し、住宅街をさまよう。やがて近くの公園にたどり着いた。
大きな滑り台の下に、洞窟のような秘密基地を見つけると、子どもは引き込まれるようにそこに隠れた。
体温は徐々に下がり、風は冷たく体を撫でた。雨は怒りを上げるように激しくなり、雷はごろりとにらみつけた。
 (雨がやんだら、家に帰ろう)子どもは体育座りをし、体を震わせた。
 (きっと、雨がやんだら、優しいお母さんになっているよね)
悲しくなる気持ちを奮い起こし、優しいときの母親の顔を思い浮かべた。
 疲れが溜まっていたのだろう。子どもはうとうとし始め、ゆっくりと目を閉じた。
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