ノスタルジア~喫茶店を訪ねて~

④願いの結末

 私は、ゆらりゆらりと立ち上がり、歩き出した。心は空しく、雨は激しく、空は赤子のように泣いていた。
ふらふらと雨に濡れながら、ふとあの子は大丈夫だろうかと、不安が心をかすめた。
 地面は、大量の雨でどろどろにぬかるんでいた。
おそらく、いつもの公園だろう。あそこには、滑り台の下がトンネルのようになっているので、ちょうどいい避難場所になっていたのだ。
 (今なら、まだ間に合う) 足は、自然と公園の方角に向いた。 (けれども) 暗い暗い雲が、立ち込める。
(けれども、また私は、子どもをたたいてしまう) 雨は冷たく冷たく、刺さるように降る。
(私の父と同じように)
雷は、時を告げるように、ごろりと鳴り響いた。
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