ノスタルジア~喫茶店を訪ねて~
 雨は止む気配を見せない。
私は、公園ではなく、ある場所に向かっていった。
小さな商店街の、誰も通らないような裏通りに入る。しっとりとした空気が漂い、雨は静かに泣いていた。足は引っ張られるように、先に先に進むと、占い師の老婆に遭遇した。
 占い師は、私の姿を見て不振な目でぎろりと一瞥した。私は椅子に座り、要件を伝えた。
 「ノスタルジアって所に行きたいんです」
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