ノスタルジア~喫茶店を訪ねて~
 私と聖美ちゃんは、何とか私の魂を体に入れようとした。しかし不思議なことに聖美ちゃんは私の体にがっしりとはまったまま、抜け出せなくなってしまった。
 どこかの夏の怪談にありそうな、オカルトじみた話だが、実際にこうなってしまったのだ。
 しかも厄介なことに、聖美ちゃんは、自分が幽霊であることを自覚していない。
「幽霊って何?お姉ちゃんと私は同じだよ」と言うばかりで、なぜあの十字路に留まっていたのか、記憶が無いようだ。
「いろんな人が通っていたけど、お姉ちゃんしか気づいてくれなかったよ」私の顔で、ニコニコと話す聖美ちゃん。
 私はこの厄介な聖美ちゃんの幽霊に、頭(頭は本体にあるのだが)を抱えるのであった。
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