ノスタルジア～喫茶店を訪ねて～

　今すぐにしなければならないことがあった。私が私に対し、質問する（私の体に入ってしまった聖美ちゃんにだが、実際他の人には私が見えていないため、私が独り言を言っているように見えてしまう）という慣れないことをするのだ。
　私は、彼女がなぜ幽霊であるのか、ということを知らない。そもそも、聖美と言う名前しか、彼女のことを知らないのだ。肝心なことに彼女は、自分が幽霊になった記憶が無い。
　おそらく、このままの状態が長く続けば、私は元の体に戻ることはできないだろう。
　私を知る人間は、私の変化に気づき、離れていくだろう。翔さんもたぶん・・・。
仮に、周囲が受け入れてくれたとしても、私じゃない誰かの人生を見なければならないなんて、酷過ぎる。
　中身が違うなんて、私の体は持つのだろうか。下手すれば、私も聖美ちゃんと同じように死んでしまうのではないだろうか。