ノスタルジア～喫茶店を訪ねて～

　（体に戻れないことは、翔さんにも会えないのか）
私は、ふと連絡の来ない翔さんが、気になり始めた。
　翔さんは、今何をしているのだろう。時間は６時を過ぎ、７時になるところだ。仕事ならもう終わっているはず。
　残業かもしれない。不安な波が押し寄せそうで、恐ろしくなりそうだ。
　翔さんには、魂の私なら一方通行だが、会えるかもしれない。けれども、翔さんが話すのは私ではないのだ。
　今もどこかで、私ではない誰かと、楽しく話しているのかもしれない。ふと、翔さんとその誰かの笑い声が聞こえてくるような気がした。