ノスタルジア~喫茶店を訪ねて~
 「ごめんね。聖美。ごめんね、聖美」
もっと他に言いたいことがあったが、上手く言葉にできない。声はかすれて、小さく小さくなる。嗚咽が漏れてきた。
(私は、泣いてはいけないのだ)
だって、苦しく、悲しい思いをしたのは、聖美だから。最期まで独りで寂しく死なせたのは、私だから。
 涸れてしまった涙が、とめどなく溢れると、心は強く強く震えた。
 
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