ノスタルジア~喫茶店を訪ねて~
 「お母さん。聖美寂しかった。ずっと待っていた」言葉は、風のように綺麗につむがれていく。
「お誕生日の時、楽しかったね。ケーキおいしかったよ。後お母さんが、聖美をたたき解き、痛かった。でもお母さんも、痛かったんだよね」
「聖美は、あの時死んじゃったから、いなくなるけど」
聖美は、急に言葉を詰まらせた。私は、その意味に心が締めつけられるくらい、とても悲しかった。
「お母さん、私を生んでくれて、ありがとう」
 私は、聖美を抱きしめた。
「聖美、お母さんの子どもでいてくれてありがとう」
聖美は、安心したように涙を流したまま、眠るように目を閉じた。
 森が、ざわざわと音を立てた。風は悲しく、泣いていた。
気がつくと、私は体に戻っていた。そして悲しいことに、聖美ちゃんが、この世からいなくなったことを悟ったのだ。
 私と、聖美ちゃんのお母さんは、ずっとずっと空に向かって泣いていた。
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