ノスタルジア~喫茶店を訪ねて~
 目を閉じると、母と妹、父の笑い声が映し出された。自然とすっと目から出てくる。涙を流しているんだと気づいた。そして心のそこから湧きあがる感情を理解した。
 俺は、後悔しているんだ。
 何もできなかった自分に失望しているんだ。
 最後に何もいえなかったことが、辛かったんだ。
最後に妹の部屋に入ると、一通の置手紙があった。
 「お兄ちゃんのばかばか。大嫌い。でも大好きだよ。本当は別々なんて嫌だよ」
 妹の丸っこい字が、心なしかにじんで見えた。
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