恋しくて、
午後になり、辺りは人ごみで溢れかえっていた。

昼メシを求める会社員やOLたちの群れだ。

普通なら見逃してしまいそうなこの状況も、今度の場合はいらない心配だ。

男の姿は、まるで何かの名所のようだった。


はぁ〜、腹減ったな〜。

BLTサンド食べとけばよかったな…。


すれ違う人たちの顔はみんな、幸福を求めて浮かれた顔をしているか、またはすでに満足して、今ある幸福に酔いしれている顔だった。


それから少しして、男はビルの階段を昇っていった。

俺もその階段を通り過ぎ、離れた所にある車に戻る。

そこには、鬼の顔をした班長の顔があり、俺を睨みつけていた。
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