血魂の彼女[短編]
「愛してたよ?



阿久津の存在が」

ザクリザクリと刺さっていくのを

感じる。


「可哀想だからお母さんと一緒に


バラバラにして


廃棄物処理場に連れて行ってあげるね?


喜んでよ、他の子なんか

阿久津の家のトイレなんだから」


俺は最後の力を振り絞って

血だらけの手で宇海の頬を叩いた。

「クス、平気よ?

何人もの人のもの浴びてるんだから」

もうその言葉から意識がない。

最後に残った宇海は


俺を蔑む目で見ていたこと、



見たこともないとびきりの


笑顔で笑っていたこと。
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