小さな恋の唄
俺は黒板の前に行きチョークで迷うことなく、答えを書き出した。

教室にはチョークの音だけが響いている。


「・・・出来ました。文句無いですよね先生」

先生はしばらく黒板とにらめっこをしていたが、やがて小さな声で

「・・・正解だ・・・」



クラスの奴らはいっせいに騒ぎ出す。

「すげー!!」
「カッコいいー!」
「最高!!」

そんな言葉嬉しくもなんともない。

俺が欲しいのは・・・

「すごいね!」


まゆからの言葉だけ。


「余裕だよ」

数学なんて公式覚えれば大体は出来るだろ?

先生は素早く俺の答えと、問題を消すと
新しい問題を書き始めた。

「次ー・・・緒方!」

「・・・はい」

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