ウラ/オモテ
「あんなことや
こんなことがどうしたって?」

「ええ…っと…」

「今日はいつもよりしゃべるな」

「それは…」

それはあなたのせいです…。



資料室と書かれた部屋の扉を
開け中に入る。
ほこりっぽくて少し暗い


「これでよしっと。」

資料を置き、
部屋から出ようとした
その時


「わっ…」

上宮くんが床に落ちていた
紙を踏んで足をすべらせた

ふらっとこっちに傾く彼の体


「危な…」

わたしはとっさに
手を伸ばして支えようとした

が、男の体重をこのわたしが
支えられる訳もなく。
2人は床に尻もちをついた

「いってて…」

「わっごめん咲乃…
怪我ない?」

そう言う彼は、すぐ目の前。
すっごーく近いです…


わたしは慌てて
立ちあがろうとした

「待って」

と、腕を引っぱられ
床へと逆戻り。

「ほこりついてる」

上宮くんの手がわたしの
頭をぽんぽんっとする


…心臓が…ドキドキ言ってる…

あの時みたいだ。
あのブーイングの時。
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