【短】笑顔のままで
「ピンポ~ン!正解!」
柱の陰からそっと様子をうかがうと、君は呆れ果てた顔をしてベンチに深く座り直した。
『…なに?なにか用?』
そんな君の冷たい言葉にもめげず、
「元気にしてるかな~と思って。かけちゃった」
酔ったフリをして話し続ける。
『…元気よ。とーっても』
右耳のピアスに手を持っていく君。
電話してるときの君の癖だ。
相変わらずの仕草を目にして、胸の奥がきゅっと締めつけられた。
懐かしくてたまらない。
「そっかそっか。元気ならいいんだ」
胸の奥からじわじわと湧き上がってくる想いで、胸が苦しくなった。