【短】笑顔のままで
『……。もういい?今、電話待ってるところなの。切るよ』
そう言ったあと、君が小さくため息をついたのがわかった。
「あっ、ちょっ…、待って!」
慌てた俺は、
「でっ、電話ってさ、男からだったりすんの?」
咄嗟にそう口にしてしまった。
『……関係ないでしょ』
面倒くさそうな声でそう言うと、君はスカートの裾を気にしながら脚を組みかえた。
「そりゃそうだ」
君からしてみたら、いちいち俺に言うようなことではないのかもしれない。
けど、知りたかった。
ずっと、気にかけていたことだったから。
「…男、できたのか?」