【短】笑顔のままで
一年前、君をひどく傷つけてしまった。
《やだよ…。別れたくない…》
泣きじゃくる君をひとりその場に残し、勝手に終わらせてしまった。
そんな別れ方をしてしまったから、君がちゃんと前に進めているのか心配だった。
あれから一年経った今でも、君の心のどこかにまだ、俺がいるんじゃないかと自惚れていた。
『できたけど…。文句ある?』
「いや…。ないよ」
柱に背中をくっつけて、ズルズルとその場にしゃがみこんだ俺。
薄汚れたスニーカーのつま先を親指でなぞった。
「その彼と、うまく…いってないのか?」
君が、あまりにも悲しそうな顔をしてたから。