◆◇嘘つきなカラダで恋に溺れる王子と姫の物語◇◆(仮)
次の瞬間、右頬に、ヒヤリとした冷たい感覚がよぎった。
ポチャン、という水の揺れる音と共に。
「え・・・わっ・・・!」
驚いて、カラダのバランスを崩してしまった私は、ドサリと倒れ込んでしまった。
「水、飲みなよ」
落ち着いた、男らしい声。
声が聞こえたほうを、恐る恐る見上げる。
「喉渇いてんじゃねーの?」
整った顔立ち、かっこよくセットされた黒い髪、潤った瞳。
「なあ、聞こえてる?」
意地悪く微笑んだ表情、背の高い、鍛えられたカラダ、危険な雰囲気。
「お~い」
王子様のような彼は、水の入ったグラスを持った右手を、私に見せるようにゆらゆら揺らしているところだった。
何が起きたのかが全く理解できない私は、ただただ彼をじっと見つめることしかできなかった。
「だ、だれ・・・?え・・・?てゆか、ここどこ?」
寝っ転がったまま、彼を見上げて私は聞いた。