◆◇嘘つきなカラダで恋に溺れる王子と姫の物語◇◆(仮)


すると彼は、「ぶっ」と吹き出し、ケラケラと笑った。


私はますます、何がなんだかわからなくなる。


「あの・・・!」


「や、だって、そんな格好で上目遣いされてもな」


笑いをこらえつつ、彼はそう言って私を眺めている。


でも、こうなったのは明らかに、この訳のわからない彼のせいなわけで。


「じゃ、じゃあ早く助けてよっ・・」


起き上がろうとするけれど、手に自由がないため難しかった。


ゴロゴロと転がるだけの無駄な私の動きを見て、また笑う。


「わかったから、落ち着けって」


・・・・グイッ


そう言って、彼はグラスをテーブルに置き、私をあっさりと抱き起こした。


一瞬で縮まる顔と顔の距離。


「あ・・・」


少しクラクラした。


彼の真っ黒で綺麗な瞳に吸い込まれてしまいそうで。


< 3 / 6 >

この作品をシェア

pagetop