◆◇嘘つきなカラダで恋に溺れる王子と姫の物語◇◆(仮)
すると彼は、「ぶっ」と吹き出し、ケラケラと笑った。
私はますます、何がなんだかわからなくなる。
「あの・・・!」
「や、だって、そんな格好で上目遣いされてもな」
笑いをこらえつつ、彼はそう言って私を眺めている。
でも、こうなったのは明らかに、この訳のわからない彼のせいなわけで。
「じゃ、じゃあ早く助けてよっ・・」
起き上がろうとするけれど、手に自由がないため難しかった。
ゴロゴロと転がるだけの無駄な私の動きを見て、また笑う。
「わかったから、落ち着けって」
・・・・グイッ
そう言って、彼はグラスをテーブルに置き、私をあっさりと抱き起こした。
一瞬で縮まる顔と顔の距離。
「あ・・・」
少しクラクラした。
彼の真っ黒で綺麗な瞳に吸い込まれてしまいそうで。