◆◇嘘つきなカラダで恋に溺れる王子と姫の物語◇◆(仮)


「忘れちゃったんだろ?」


フウっという吐息とともに、耳元に近づけられた彼の口から言葉が侵入してくる。


「んぅ・・・」


ガクンと力が抜け、また倒れかけそうになる私を支えながら、彼はこういった。


「思い出させようとしてあげてんの。大人しくしてなよ」


この人、やばい。そう思った。


に、逃げなきゃ!


そう思って手錠を必死に外そうとするけれど、もう力が全く入らない。


「や・・だ・・!」


「いいねー、その言葉」


余裕の笑みを見せた彼は、私の鎖骨のあたりに顔をうずめた。


ハアッと暖かい息を吹きかけられる。


「・・・・・あっ・・」


力が入るとともに、くすぐったいような、逃げ出したいような、ゾワゾワ感が背中まで伝わる。


思わず目をつむり、右足を彼にめがけて振り上げた。


「・・や・・めてったら!やめてーーーっ!」


「うわっ」


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