◆◇嘘つきなカラダで恋に溺れる王子と姫の物語◇◆(仮)
私の右足は、彼の足を攻撃してしまったようで、あっさりとバランスを崩した彼に覆いかぶされてしまった。
ドサっと倒れ込む二人。
なんなの、この人、信じられない・・・!
「ちょっと、いい加減にしなさいよぉ!どいてどいてどいて、私の上から、さっさとどいてっ!」
体をねじって彼の下敷きから解放されようとしていると、彼は「あーあ」と肩をすくめながら、私を見下ろした。
「最初からこうすればよかった」
極上のスマイルが見えたかと思うと、その体勢のまま、ぎゅっと抱きしめられてしまった。
私の口は、ちょうど彼の胸板に塞がれてしまい、声にならない声しか出せない。
「いい加減、思い出してよー」
そう言って、彼は私から離れようとしない。
声を出しても無駄だと思って、一気にカラダの力を抜いた。
その瞬間、代わりに入り込んできたのは、彼の香り。
甘くて優しい、危険な香り。
「う・・・・・・?」
・・・・・・・この香り、知ってる。