復讐ストーカーゲーム1
 ――ヒィ!!!! 鬘を取ると、めちゃくちゃ怖いおっさんじゃん! もう嫌!


「あ、ここだから。今日は好きなお酒を飲んでいいわよ? 飲み明かしましょう」


立ち止まった場所は駅から徒歩8分くらいの、こじんまりとした酒屋だった。看板には『西田酒屋店』と書かれていた。


こいつ、西田っていうのか。


「どうぞ入って。貴方、なんのお酒が好き? 貴重な日本酒開けちゃいましょうか。折角の出会いなんだし。うふっ」


俺……食われるんじゃないだろか? 


床はコンクリートで涼しげな、店の端っこに老人が座っていた。


「あれは親父。気にしなくて良いのよ。越乃寒梅でも開けましょうか? やっぱり日本酒は新潟よねぇ。上に私の部屋があるからおいで」


「お邪魔しまーす」


老人は軽く会釈をするくらいで、ぼんやりとしていた。
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