復讐ストーカーゲーム1
 親父に少しだけ物申したかったが、これから見届ける幸せなウエディングロードを目の前に、水を差すようで口を閉ざした。


「忘れ物はないでゲスね? それでは出発でゲス!」


車に乗り込んだ俺達は、絵恋さんの懐かしの教会を目指し走り出した。


後部座席には俺とお袋、助手席は親父が座った。


三人で他愛も無い会話を繰り広げていたが、俺は基本、加わらなかった。


窓の外のサラリーマンやOL、働く人々に自然と眼が入り、ぼんやりと行き交う人達を眺めていた。


汗水たらして働く人間を見ていると、将来への不安がおぼろげに過ぎった。
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