復讐ストーカーゲーム1
 鞄からそっと取り出したのは、盗聴器の折り畳み傘だった。


――ファンタスティック・アンブレラ。略してファンブレ。君を使う時が来たようだね? 問題はどう仕込むかだ。


どれくらいの高級店か知らないが、トイレくらい貸してくれるんだろか――いや、待ち合わせと称する方が確実か。


だ、大丈夫だ。どこからどう見ても傘だ。発見されたとしても、落し物として扱われるだけだろう。


心配は無い。問題は無いはず。


自らを何度も鼓舞し、言い聞かせた。


張飛がまだ戻っては来ていないが、二人で潜入するより一人の方が都合が良い。行くか? 一人で。
< 605 / 887 >

この作品をシェア

pagetop