復讐ストーカーゲーム1
 お袋は妄想だけで飛び跳ね、楽しそうに食器を片付けた。


――俺だって、結婚したかった。誰か俺のそばにいてくれないかなあ。


ふと、コンビニで色目を使う松田香苗が浮かんだ。


駄目だ、あんな年増。俺の好みではない。即、頭を横に振り、妄想は宙へと掻き消した。


「信ちゃんも彼女いるんなら、日曜日に連れて来なさいよ! お母さん頑張るわ」


ちっ、他のメイド喫茶で好みの女でも探すか……。


「分かったよ。行って来るね」


「いってらっしゃ~い! 今日も頑張ってね!」


玄関の扉が、お袋のパツンパツンの笑顔を遮断した。空は今日も清々しい晴れだった。
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