幸せの掴み方
柚葉は、この半年間、湊の優しさに何度となく救われてきた。

離婚して間もない頃、精神的にも肉体的にも辛かった時、湊は
側にいてくれて、柚葉にいつも、

「柚、大丈夫だ。 俺が側にいてやるら・・・・」

そう言われ、柚葉は、湊のこの言葉が常に心の支えだった。

湊の告白の返事は、まだしてはいないが、今の柚葉にとって、湊は
大切な人であることに違いはない・・・・

このまま真之介を出産し、落ち着いたら、柚葉は、多分湊を受け入れる
だろうと、何となくそう思っている・・・・

「ところで、柚・・・・」

「何?」

「お前、写真撮らないか?」

「写真?」

「うん、マタニティーヌードだ・・・」

「へぇ・・・・ヌード・・・・・無理無理!!」

「そうか・・・今、記念にって、結構需要があるんだがな・・・・・」

湊は、とんでもない提案をしてきた。

スタイルの良い女性なら解るが、自分は、どう見ても普通だ!!

「嫌よ・・・・他人が見ている中で撮られるなんて・・・・」

「俺だけでもか?」

「無理よ!! 湊の前でも、無理!!」

柚葉は、盛大に反論した。
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