幸せの掴み方
「あなたと柚葉が離婚した時、既に、お腹の中に、子供がいたんです。
 柚葉は、あなたにこの事を告げる事も出来ずに、離婚した・・・・
 否、離婚させられた・・・・。

 離婚した柚は、懸命に菜々美とお腹の子供を支えに、頑張っていたけど、

 柚は、離婚したと同時に、仕事も始め、妊婦ってこともあって、
 心が不安定なまま頑張ってしまって・・・・
 
 そのうち段々と、心と体が病んで行ったんだ。

 すぐに俺は、美代子さんと相談して、柚葉の負担を出来る限り少なくし
 柚葉が少しでも、元気になるように出来る限りの事はしてきた。

 俺だけじゃない、美代子さんも瑠菜ちゃんも、皆が柚を支えて、
 どうにか落ち着いたんだ。

 そして、俺は、柚にプロポーズした。

 どうしても柚や菜々美、そしてお腹の子供を守りたくて・・・・・」

圭祐は、苦虫を潰したような顔をしながら、湊の話を聞いていた。

「それで、あなたは柚葉と結婚したんですか!?」

「そうです。どうしても、側に居てやりたかった。
 
 俺が大学を卒業するとき、夢を追う為に、柚に何も告げずに
 目の前から消えた・・・・・
 
 最後の最後まで、柚に別れを告げることが出来なかったんだ・・・

 とても後悔したが、その分、カメラマンとしては成功し、
 今年の3月に日本に帰って来て、暫く日本で仕事をするために
 受けた仕事先で、柚に再会した。
 
 その時は、既に柚は、あんたと結婚していて、菜々美がいた。
 
 俺は、柚が幸せならそれでよかった・・だけど、現実はそうではなかった。
 
 あの日、あんたが俺達を見た時、俺は、柚の様子がおかしくて
 何があったか、追求したんだ・・・・・
 
 そして柚は、辛そうに、あんたとの生活の事を話し、また秘書から
 嫌がらせを受けていて、かなり精神的に参っていたんだ・・・・・
 
 それをあんたは、柚の話も聞かずに、浮気と決めつけ、離婚を
 言い渡したんだよ・・・・」


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