幸せの掴み方
「お母さんですが・・・・おそらく、胃がんだと思われます。」

「えっ・・・・胃・・がん・・・・ですか?・・・・」

「はい、貧血もありますし、今の段階では、詳しくは言えませんが、
 おそらく・・・・」

柚葉は、目の前が真っ暗になった。

『母さんが、癌』・・・・・頭の中は、その言葉の繰り返しで、何も柚葉の
耳には、入って来なかった・・・・・

呆然としている柚葉に、医師は、淡々とこれからの事を、話してくれていたが
柚葉の耳には、何も入って来なかった。

医師の話が終わっても、柚葉が呆然としていた為、看護師が柚葉に

「・・・・わさん・・・黒沢さん・・・・大丈夫ですか?」

看護師の声で、我に返り、柚葉は、

「・・あっ、すみません・・・・話が殆ど聞けなくて・・・・・」

医師も看護師も、そんな柚葉に、

「良いんですよ。大切な方の病気は、家族にとって、どれほどショックか
 解りますから・・・・

 でも、しっかりしてください。

 これから、詳しく検査をして診ないと、分からない事ですから。

 お母さんと一緒に、病気と闘っていきましょう!」

看護師の言葉に、柚葉は、涙が零れてきた。

その涙を、拭きながら、柚葉は、もう一度医師からの話を聞き、話を
聞き終わると、医師と看護師に、お礼を告げ、美代子の病室に向かった。

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