幸せの掴み方
病室に入ると、恵と美代子が話をしていた。

「母さん、起きていて大丈夫なの?」

「うん、ごめんね、心配かけて・・・・ちょっと眩暈がして・・・・

 大げさになっちゃったわね!・・・」

「ほんとに、社長、心臓が止まるかと思いましたよ!!」

「本当に、母さん、吃驚したんだからね!」

柚葉は、とにかく気丈に、何事もなかったかのように振舞い、その様子に、
恵も美代子も、安心しているようだった・・・

「母さん、暫く、検査入院だからね!

 この際だから、きっちり検査を受けて、私達を安心させて頂戴ね!」

「えっ・・・分かったわよ・・・・あぁー、入院なんて、嫌だな・・・・

 あなたを産んだ以来よ、入院なんて・・・・」

美代子は、不満そうだったが、柚葉は、毅然と、『私を安心させて』と
美代子に、そう言い聞かせた。

柚葉の言葉に、美代子は仕方なさそうに、

「そうよね・・・・フランスに行く前に、あなたを安心させなくちゃ
 ならないものね・・・・」

そう諦めた美代子は、その後、恵と仕事の打ち合わせに入り、

美代子と恵が、仕事の段取りを終えると、柚葉は、

「母さん、入院に必要なものを持ってくるから、一回戻るわね!」

「うん、ごめんね。お願いするわ・・・・」

柚葉は、美代子の入院道具を取りに行く前に、子供達を迎えに行くために
恵と一緒に、会社に向かった。
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