目の前のアイツ


「だ~!!全然終わんねぇよ~。」

萩也が んー とのびをする。

一方あたしは、

「とれない~」

ギリギリまで背伸びをして、高いところにある本に手をのばしていた。

すると、横から手がのびてきて、

「はい。」

と爽やかにわらい、とった本を渡してくれた。

(誰?)

振り向いてみると、

「時雨くん!」

彼は後輩の、青田時雨[アオタシグレ]くん。いつもあまり喋らない無愛想な子だが、何故かあたしとはけっこう話をするんだ。

「ありがとう。」

とわらって受け取った。

「いえ…//」

顔が少し赤くなった気がしたけど、時雨くんの前髪は長いから、よく見えなかった。

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