目の前のアイツ
「誰だー?」

奥の方から、のそのそと萩也が出てきた。

「お~、時雨じゃんか。」

「こんにちは、笹倉先輩。」

時雨くんが無表情で挨拶した。

「あれ、なんでここにいるんだ?」

「そうだよね。なんで?」

この図書室は、広いくせにあまり人が来ない。

「………なんとなくですよ。」

「なんとなく?」

「はい。ついでに手伝いますよ。図書室の片づけでしょう?」

この広い図書室をいっしょに片づけてくれるって!?

「神だ…、神だ…!!」

萩也が目を見開いて言った。大袈裟と思う人もいるだろうが、ここは二人だけで片づけられるような場所ではない。

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