World Walker
りせは振り返る。

副官に肩を借り、ようやく馬に跨る皇帝の姿が見えた。

「もう大人しくしときなさい」

りせは声をかける。

「その傷…死にはしないけど後遺症が残るわ。戦闘なんてもうできない…帝国をより良くする事だけ考える事ね。覇業なんてアンタにはできないわ」

「くっ…」

歯噛みする皇帝。

しかし彼も心のどこかで思っているのかもしれない。

一度ならず二度までも。

覇業を戦乙女に阻まれたというのは、これは皇帝の使命ではないという事なのかもしれないと…。

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