World Walker
『今どこにいるんだい?』

マー君と呼ばれるその男性は問いかける。

ギシッと椅子の背凭れにでも凭れ掛かるような音。

「なんか騎士同士がチャンバラしているような世界よ…乙女や紅は彼の地って呼んでたけど」

会話を続けるりせは、何だかソワソワと落ち着きがない。

スマホだからいいようなものの、これが自宅などの固定電話ならば、間違いなく受話器と電話機を繋ぐコードを指にクルクルと巻きつけながら話している事だろう。

恋人と会話している時のそれのように。

『乙女と紅?早速新しい世界で友達が出来たんだね。りせはいい子だからね』

「いい子って…子供みたいな誉め方しないでっ、馬鹿にしてるのっ?」

言いつつも誉められた事に満更でもなさそうなりせ。

『で…』

またギシッと椅子の音。

マー君は少し間を置いて。

『乙女っていうのは恐らく女の子として…紅っていうのは男の子かな?りせ好みのハンサムだったかい?』

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