World Walker
最悪だった。

蚊は刺す、枝で肌を傷つける、湿気と暑さで体がべとつく、おまけに喉が渇いた。

気付けば日が傾いてきているのだろうか、木漏れ日が差し込んでいたのが徐々に暗くなってくる。

日暮れが近い。

自分の現在地が分からないままなのに夜まで来ては絶望的だ。

最早りせ一人の力で、最初に歩いていたアスファルトの道路に戻る事は不可能に近かった。

…ギブアップ。

一度他所の世界に渡って、仕切り直すしかなかろう。

両手に光を収束させようとしたりせは。

「!」

ガサリと枝が揺れる音を聞いた。

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