World Walker
思わず身構えるりせ。

こんな山中だ、人ではあるまい。

となると野生動物か。

野犬か、猿か、野鳥か…熊は遠慮願いたい。

ガサガサと揺れる生い茂った草木を凝視し続けるりせ。

その中から、しゃなり、と姿を現したのは。

「何じゃ、人間ではないか」

女性だった。

二十歳くらい、長い黒髪、細面のスラリとした娘。

身につけているのは白いセーターと同色のロングスカート。

こんな日差しの強い日…しかもこんな山の中で暑いだろうに、彼女は汗一つかかない涼しい顔だった。

「何をやっておる、こんな山の中で」

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