World Walker
こんな山間の小さな田舎町、冬城。

その田舎町に一軒しかないスーパーに、町の人間以外の者が訪れる事は非常に珍しい。

「……」

商品を棚に陳列し、段ボール箱を潰しながら、千春は思わずりせの姿をしげしげと眺めてしまう。

「…何?」

ジト目で睨み返すりせ。

「あ、ごめんごめん…冬城は田舎町じゃけぇ、町の人間以外の人がこの店に来るんが珍しゅうて…ジロジロ見てごめんね、悪気はないけぇ」

苦笑いする千春。

人懐っこい笑顔だ。

その笑顔に気を許したのか。

「んー…じゃあお昼ご飯と飲み物奢ってくれたら許してあげる」

りせも茶目っ気たっぷりの要求をする。

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