World Walker
「あいたー」

後頭部を掻きながら笑う千春。

「アンタみたいな可愛いお客さんにそう言われたら敵わんなぁ…他のお客さんに言うたらいけんで?」

「え、ホントに奢ってくれるのっ?」

表情を輝かせるりせ。

「今回だけじゃけぇね…」

苦笑いしつつ、千春は潰した段ボール箱片手に立ち上がった。

「好きなもん選んで。金は俺が出すけぇ」

「きゃー♪店員さん大好きー♪」

現金なりせ。

それならばと。

彼女は惣菜のコーナーに並べてあった、1パック198円の稲荷寿司を手に取る。

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