World Walker
じっと向けられる千春と姫羅木の推測と憶測の視線に気付いたのだろうか。

「もうっ、勘繰るのやめてよねっ」

居心地が悪くなったようにりせは立ち上がる。

「そんな目で見るんなら、もう私行くからっ」

「あっ、あっ、悪かったってりせちゃん!」

千春が慌てる。

「そうじゃ、そんなに短気を起こさぬでもよいではないかっ」

姫羅木も白銀の尻尾をりせの腕に絡めて引き止めるが。

「…嘘よ、怒ってないってば」

クスッと笑って、りせは姫羅木の尾を優しく解く。

「でも本当にそろそろ行かなくちゃ。ちょっと長居し過ぎちゃったみたい」

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