World Walker
高々と掲げられたルドルフの両手。

その手に、呼吸すら儘ならないほどのプレッシャーを感じる。

不可視の力が、ルドルフの両手の中に圧縮され、凝縮され、そして膨張しようとしている。

本来おさまりきらない器の中に、無理矢理に莫大なエネルギーを押し込めたかのような圧力。

今の彼からは、そんな威圧感を感じた。

「君に迂闊に接近するのは得策ではなさそうだ…ここはひとつ、一思いに消し飛ばす事にしよう」

ルドルフの額に汗が浮かぶ。

あれ程の膨大なエネルギーだ。

制御するのに相当な精神力を要するのだろう。

そのエネルギーを保持したまま。

「Ich benutze mich, Aussterben.. Macht(我、滅びの力を行使する)」

ルドルフは詠唱を開始した。

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