World Walker
その光景を、ルドルフは見ていた。

…背中に流れるのは汗。

何の汗なのかは自分でも理解できない。

『終末の光』の放つ熱量による汗なのか、冷や汗なのか、それとも戦慄の汗なのか。

ともかくりせは、ルドルフの最大級の大魔法を完全に吸収し、今ようやく呼吸を整え始めた。

酷い姿だ。

汗まみれ血塗れ、形振り構っていられなかったのか、顔は涙と鼻水でドロドロになっている。

それでも、りせを汚らしいとも無様とも思わなかった。

寧ろ恐怖する。

爵位級悪魔と同等の力を有するルドルフが、目の前の一人の娘に恐怖していた。

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