World Walker
呆然とするりせ。

「人が悪いわね、ルドルフ…アンタまだそんな凄い魔法隠し持って…」

「人が悪いのは当然だ…欺瞞や謀りはこの魔界(せかい)の常識だからな…それに」

ルドルフは大真面目に言う。

「きっと君はこの魔法を行使して尚、俺を上回るのだろう?」

「…当然じゃない」

微笑むりせ。

闇一色の光景も、そこに住む住人達も。

何一ついい印象などないと思っていたこの世界だが、ひとつだけ。

ルドルフ・クラインリーゼ・リリアという男にだけは、もう一度会ってもいいかと、りせはそんな事を思っていた。

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