World Walker
文明と自然、科学と魔術、ファンタジーとSFが同居した世界。

幾つもの世界を渡り歩いてきたりせだが、こんな統一感のない世界は初めてだった。

「何なのよ…ここ…」

呆然としつつも、導かれるように彼女は街の中へと入っていく。

街の中は更に雑多だった。

人混みの中を歩いているのは、人間だけではない。

トカゲ人間のリザードマン、いわゆる狼男の人狼(ワーウルフ)、それらよりも遥かにサイズの小さなニンフやピクシーといった妖精まで。

同じ人間でも、りせと同様の現代的なファッションの者もいれば髷を結って着物袴姿に帯刀している侍もいるし、鋼の甲冑を纏った騎士も、ローブを纏った魔法使いもいる。

ちょっとした仮装行列の様相を呈しているが、誰も彼らを奇異の目で見てはいない。

つまりこの都市では、この珍妙な光景が日常なのだ。

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