World Walker
そして迷った。

「あっれぇ…?」

るちるに聞いた通り、大通りを一本逸れただけのつもりなのだが…。

気がつくと、何だか妖しげな雰囲気漂う通りへと紛れ込んでしまっていた。

天空宮市は雑多な街である分、迷路のように入り組んでいて結構複雑だ。

初めてこの街に訪れた他所の世界の人間が歩き回れるほど、分かり易い構造ではない。

今、りせが紛れ込んでしまっているのは6番街。

市街地でもかなり人通りの多いところだ。

バーや居酒屋が集中している歓楽街でもあり、昼間はともかく夜が更けると、天空宮にしては珍しくどこかいかがわしい雰囲気を醸し出す。

この街にしては、少々治安が悪いと言える場所だった。

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