World Walker
「参ったなぁ…」

苦笑いしながら頭を掻くアルベルト。

刹那。

「あうっ!」

ビシッ!という軽い音と共に、りせの上体が仰け反った。

顔面に打ち込まれた、何らかの打撃。

それがアルベルトのいわゆるデコピンだと気付くのには、少々時間を要した。

何故ならアルベルトの両手は、再びハンドポケットのまま。

その手を抜く動作も、ポケットに入れる動作も、近づく動きさえ全く見えなかった。

< 274 / 456 >

この作品をシェア

pagetop