World Walker
砂埃舞う公園。

その真ん中に倒れていたメグは。

「……」

立ち上がって制服の砂を払い落とした。

喉元からは、出血。

呼吸が漏れる音が聞こえる。

喉は手刀によって貫通され、食道まで傷が達していた。

なのに苦痛の表情も呻き声すら上げない。

それどころか。

「あらあら…」

りせが呟く。

彼女が見ている目の前で、メグの喉の傷は見る見るうちに塞がっていく。

『再生』の魔術。

あらゆる外傷を瞬時に回復させる、肉体に行使された魔術。

このお陰でメグは腕を千切られても腹を貫かれても死にはせず、細胞の老化まで防ぐ為に、魔女狩りの時代である15世紀頃のヨーロッパに住んでいた時から10代の容姿のままなのだ。

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