World Walker
形勢逆転。

しかしその言葉は、果たしてりせに使っていいものかどうか。

「逃げろりせ!」

戦闘を見ていた修内太が叫ぶ。

「メグ、の間違いじゃない?」

フンと鼻で笑うりせに。

「デッドゲイトの魔女には体のどこかに『紋章』があるんだ」

修内太が言う。

デッドゲイト家の魔女である証の紋章…だがその紋章には、もう一つの意味がある。

彼のその言葉の途中を拾って。

「死の門(デッドゲイト)の『鍵穴』よ」

左胸から血を滴らせながら、メグが立ち上がる。

その瞬間。

「!?」

メグを中心に、世界が塗り替えられた。

まるで波紋が広がるかのように。

彼女の足元は公園の砂地から赤黒い大地へと変貌していく。

青空は赤紫色の空が広がり、漆黒の雲が雷鳴を轟かせる。

どこまでも、何も遮る事なく続く不毛の荒野。

そこに、一片の命さえも存在する事は許されなかった。

吹く風は、亡者の苦悶の声のように響く。

…この世界に命あるものは、メグとりせ、そして修内太の三者のみ。

メグはニヤリと笑みを浮かべる。

「ようこそ、死の世界へ」

< 37 / 456 >

この作品をシェア

pagetop