World Walker
「嘘偽りはないさ」

来栖は腕組みする。

「流石は俺の妹だ。腕が立つ。何ならこの屋敷に置いてやってもいいくらいにな…しかし貴様にその気はなさそうなのでな…ここはひとつ…」

来栖がパチンと指を鳴らす。

途端に。

「!?」

屋敷の中にあった全ての灯りが、燭台が、暖炉の火さえもが、一斉に消えてしまった。

只でさえ昼でも暗い非ず者達の館周辺の森。

早朝だろうと、灯りがなければ完全な暗闇と化す。

その暗闇の中から。

「うぐっ!」

りせの腹に叩き込まれる来栖の拳。

「このっ!」

まだ闇に慣れていない、りせの目。

闇雲に反撃するも命中せず。

「うぁっ!」

逆に頬に拳を、背中に肘打ちを、脇腹に膝蹴りを。

『同時に』見舞われた。

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