World Walker

旅の意味

ぶつかり合う拳と拳、蹴りと蹴り。

鈍い音が朝靄煙る樹海に響き渡る。

りせと来栖の手足だけが攻防を展開するという信じ難い光景。

「……」

ここに来て来栖が、初めて嘲り以外の表情を見せた。

…笑っていた。

真に悦びに笑っていた。

確かに期待はしていた。

自分と同じ者から創造された天地 りせ。

この女なら愉しませてくれるのではないかと思っていた。

しかしまさか、ここまで健闘するとは。

「楽しいぞ、我が妹よ」

< 411 / 456 >

この作品をシェア

pagetop