World Walker
馬上で愛用の槍をヒョイと肩に担ぐ男…紅。
穂先の刃の鈍い輝き、柄に施された装飾は何故か不気味でさえあり、黒を基調としたその槍の色合いは、何か不吉なものを感じさせた。
損傷も刃の曇りもない、よく手入れの施された品ではあったものの、その槍には幾多の人の血を啜った、生々しさが残っていた。
それが『魔槍』と呼ばれる、この世界では名の知れた逸品である事を、りせは知る由もないが。
「紅?変な名前ね…」
どうにかこの嫌味な男を怒らせてやろうと挑発するりせだが。
「異名のようなものだ…お前のような変態趣味の女に本名を教えるのは些か恐ろしい。どんな特殊な性癖に名を利用されるかわからんからな」
腹を立ててしまうのは一方的にりせでしかなかった。
穂先の刃の鈍い輝き、柄に施された装飾は何故か不気味でさえあり、黒を基調としたその槍の色合いは、何か不吉なものを感じさせた。
損傷も刃の曇りもない、よく手入れの施された品ではあったものの、その槍には幾多の人の血を啜った、生々しさが残っていた。
それが『魔槍』と呼ばれる、この世界では名の知れた逸品である事を、りせは知る由もないが。
「紅?変な名前ね…」
どうにかこの嫌味な男を怒らせてやろうと挑発するりせだが。
「異名のようなものだ…お前のような変態趣味の女に本名を教えるのは些か恐ろしい。どんな特殊な性癖に名を利用されるかわからんからな」
腹を立ててしまうのは一方的にりせでしかなかった。