World Walker
「で…」

その異名の由来となった真紅の外套を翻し、紅は馬上から見下ろす。

その視線だけでりせの気分をイラつかせる辺り、筋金入りの性悪だ。

「お前はここで何をしている?まさか本当に自殺志願者という訳でもあるまい…近頃は帝国もまた進軍範囲を広げてきたからな…今度帝国の騎士に遭遇すれば犯される程度では済まんぞ」

「余計なお世話よ!」

ガァーッ!とまくし立てるりせ。

「アンタなんかに心配されなくても、さっき程度のピンチは一人で切り抜けられるんだから!アンタが手助けのつもりで入れた横槍は、只のお節介だったって訳、おわかり?」

「俺の得物と『横槍』をかけたのか、笑えん駄洒落だな」

「たまたまよ!そんな笑いのセンスないみたいな憐れみの目で見ないでっ!」

とにかく論戦では紅に全く太刀打ちできないりせ。

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