World Walker
「まぁいい、邪魔したな」

馬を転進させる紅。

「ち、ちょっと待ちなさいよ!」

りせが慌てて呼び止めるので、彼は迷惑そうに手綱を引いて馬を止める。

「何だ。俺は戻らなければならんのだが」

「何だじゃないでしょっ!」

りせは息切れするほどに怒鳴り続けていた。

「か弱い女の子をこんな荒野に置き去りにして、アンタ心が痛まないのっ?」

「痛まん。俺のやった事は横槍だったと、余裕の駄洒落で言ったではないか」

「駄洒落じゃないって言ってるでしょっ!」

「それでも俺の助けが必要ない事は事実なのだろう?彷徨うといい、この時期は夜になると氷点下にまで下がるが、お節介というのならば無理に助けるのも悪い」

「助けなさいよっっっ!」

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